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腰椎椎間板ヘルニア |
腰椎椎間板ヘルニアにより腰髄神経根が刺激、圧迫された場合、坐骨神経痛、下肢への放散痛、しびれ、知覚障害、ひどくなれば筋力低下や膀胱直腸障害なども出現する。 |
腰部脊柱管狭窄症 |
年配の方にみられ、症状として、長歩きできない。すなわち歩いていると足がしびれてきて休憩しないと歩き出せない。前かがみに休むとまた歩き出すことができる。 安静などは特に必要なく、症状をみながら徐々に動いて運動能力はできるだけ保つようにする。プロスタグランディンE1誘導体製剤の服用、硬膜外ブロック、仙骨ブロックなどが行われる。頻尿、尿漏れなどの膀胱直腸障害のあるものや、麻痺がでてきたもの、進行性の下肢麻痺のあるものは手術が行われる。麻痺の程度が強くなってしまってからの手術では、手術の効果が期待できないので、麻痺のあるものは時期を逸することなく早期に手術で対応するように注意する。 神経圧迫による症状に対しては、神経除圧術を、すべり症など脊柱不安定性に対しては、固定術が行われる。固定術はもともと存在する不安定性に対しての固定と、除圧部の二次性不安定性に対しての固定とがある。 |
腰椎変性性辷り症 |
第4/第5腰椎椎間板の、第4腰椎の前方辷り症が多い。中年以降の女性に多く、分離症を伴わないで、椎間板の変性により、ここに上半身の重みが剪断力として働き腰椎が前方にずれる。この部で脊柱管は狭窄し、神経を絞扼し脊柱管狭窄症と同じような症状が生じる。 |
知覚異常性大腿痛 (メラルジア・パレステティカ) |
ロート・ベルンハルト病ともいわれる。しばしばみられる。 大腿外側皮神経が大腿筋膜を貫通する部位での絞扼性神経障害と思われる。原因不明のことも多い。 大腿近位外側、または股関節前面外側あたりの知覚障害と上前腸骨棘内側または内側下方を押さえると痛む。治療として局所麻酔薬とステロイドの注射を大腿外側皮神経が大腿筋膜を貫通する部位におこなう。よくならなければ、神経剥離術がおこなわれることもある。 |
閉鎖神経絞扼性障害 |
股関節前面、鼠径部、大腿近位内側あたりのハッキリしない痛み。時に大腿内側の痛みを訴えることもある。股関節が痛いと訴えることもある。原因不明のことが多い。 鼠径靭帯の陰部よりの内転筋起始部外側のくぼみを閉鎖孔に向かって圧迫すると深部に圧痛を訴える。 治療としては局所麻酔薬とステロイドを少し多めに深部より浸潤させる。 |
大腿神経絞扼性障害 |
稀であるが、鼠径部より大腿前面あたりの部位のはっきりしない痛みを訴える。鼠径靭帯下、鼠径動脈のすぐ外側に大腿神経が走っており、ここを押すと痛みを訴える。圧痛点に局所麻酔薬を浸潤させて症状の消失をみる。 |
腸骨鼠径神経絞扼性障害 |
下腹部より大腿内側に放散する痛み。股関節前面あたりの痛み。陰嚢、大陰唇の知覚障害がでることもある。稀である。 腸骨鼠径神経は内外腹斜筋間をはしり、鼠径管を通り、陰嚢、大陰唇の知覚を支配する。
陰嚢、大陰唇の知覚障害が認められれば、上前腸骨棘の内上方 2横指あたりを中心に圧痛点がある。この部に局所麻酔薬を浸潤させる。
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腸骨下腹神経絞扼性障害 |
稀ではあるが、股関節前面あたりの痛みを訴える。鼠径靭帯の直上内側の恥丘の知覚障害がでる。上前腸骨棘内上方3横指くらいに圧痛点がある。治療はこの部に局所麻酔薬を浸潤させる。 稀に腸骨稜後方からの骨採取後の瘢痕により外側皮枝が絞扼され、臀部外側の痛みを訴えることがある。 |
伏在神経絞扼性障害 |
立ち座り、階段昇降がしにくいと訴え、膝関節内側の痛みを訴える。小児が昨夜、急に膝が痛いと訴えて泣き、寝なかったが今朝はケロリとしているといって連れて来られた場合、膝蓋下枝の伏在神経絞扼性障害であることが多い。稀に小児の膝痛大腿部痛の原因として潜在性二分脊椎に伴う終糸緊張症候群であることもあり鑑別が必要。 大腿真ん中やや末梢内側部に圧痛店があり、膝蓋骨内下方あたりに痛みと知覚障害がある。知覚障害は下腿内側から内踝部にかけてあることもある。 治療は圧痛点に局所麻酔薬を浸潤させる。 |
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